今回は「北朝鮮ミサイル」をとり上げます。
その中でも、「ミサイル開発の経過」を振り返ります。
これまでの開発経過はどのような流れで進んで来たのか。
出来事をおさらいしていきましょう。
北朝鮮ミサイルの開発経過
No. | 年月日 | 概要 |
---|---|---|
1 | 1993年5月29日 | 準中距離弾道ミサイル「ノドン1」 |
2 | 1998年8月31日 | 弾道ミサイル「テポドン1号」 宇宙・衛星(初) |
3 | 2006年7月5日 | 弾道ミサイル「スカッド・ノドン・テポドン2号」計7発(大陸間) |
4 | 2009年4月5日 | 弾道ミサイル「テポドン2」 (大陸間) 人工衛星打ち上げ用ロケット「銀河2号」、宇宙・衛星#2 |
5 | 2012年4月13日 | 「テポドン2派生型/銀河3号」、宇宙・衛星・失敗#3? |
6 | 2012年12月12日 | 「銀河3号」 宇宙・衛星#4・成功 |
7 | 2013年5月18日~20日 | 短距離ミサイルまたはロケット砲の計6発 |
8 | 2014年6月29日 | 弾道ミサイル「スカッドかノドン」 |
9 | 2015年5月4日 | 潜水艦発射弾道ミサイル(SLBM) (初) |
10 | 2016年2月7日 | 「テポドン2」 宇宙・衛星#5・成功(大陸間) |
11 | 2016年6月22日 | 「ムスダン」2発、ロフテッド軌道 |
12 | 2017年3月6日 | 詳細不明 |
13 | 2017年3月22日 | 詳細不明 |
14 | 2017年4月4日 | 詳細不明 |
15 | 2017年4月16日 | 詳細不明 |
16 | 2017年4月29日 | 詳細不明 |
17 | 2017年5月14日 | 中距離弾道ミサイル「火星12」1発 (初) |
18 | 2017年5月21日 | 準中距離弾道ミサイル「北極星2号」KN-15 |
19 | 2017年5月29日、6月8日 | スカッドミサイル(改) |
20 | 2017年7月4日 | 大陸間弾道ミサイル「火星14」初 (大陸間)(初) |
21 | 2017年7月28日 | 大陸間弾道ミサイル「火星14」、射程10万km(大陸間) |
22 | 2017年8月26日 | 短距離弾道ミサイル3発 |
23 | 2017年8月29日 | 中距離弾道ミサイル「火星12」 |
24 | 2017年9月15日 | 中距離弾道ミサイル「火星12」 |
25 | 2017年11月29日 | 大陸間弾道ミサイル「火星15」KN-22 (大陸間) |
26 | 2019年4月18日 | 戦術誘導兵器 |
27 | 2019年5月4日 | 短距離弾道ミサイル「イスカンデル」KN-23 |
28 | 2019年5月9日 | 短距離弾道ミサイル「イスカンデル」2発KN-23 |
29 | 2019年7月25日 | 短距離弾道ミサイル「イスカンデル」 |
30 | 2019年7月31日 | 弾道ミサイル2発 |
31 | 2019年8月2日 | 短距離弾道ミサイル2発 |
32 | 2019年8月6日 | 短距離弾道ミサイル2発「イスカンデル」 |
33 | 2019年8月10日 | 短距離弾道ミサイル2発・KN-24 |
34 | 2019年8月16日 | 短距離弾道ミサイル2発 |
35 | 2019年8月24日 | 大型ロケット弾2発・KN-25 |
36 | 2019年9月10日 | 大型ロケット弾2発 |
37 | 2019年10月2日 | 潜水艦発射弾道ミサイル「SLBM」(「北極星3」) |
38 | 2019年10月31日 | 短距離弾道ミサイル2発 |
39 | 2019年11月28日 | 大型ロケット弾2発 |
40 | 2020年3月2日 | (2発)詳細不明 |
41 | 2020年3月9日 | (3発)詳細不明 |
42 | 2020年3月21日 | 詳細不明 |
43 | 2020年3月29日 | 詳細不明 |
44 | 2021年1月22日 | 巡航ミサイル |
45 | 2021年3月21日 | 巡航ミサイル |
46 | 2021年3月25日 | 弾道ミサイルを2発 |
47 | 2021年9月11・12日 | 長距離巡航ミサイル |
48 | 2021年9月15日 | 短距離弾道ミサイルを2発 (鉄) |
49 | 2021年9月28日 | 極超音速ミサイル「火星8」 (極)(初) |
50 | 2021年9月30日 | 地対空ミサイル |
51 | 2021年10月19日 | 新型潜水艦発射弾道ミサイル「SLBM」2発 |
52 | 2022年1月5日 | 極超音速ミサイル1発 (極) |
53 | 2022年1月11日 | 極超音速ミサイル1発 (極) |
54 | 2022年1月14日 | 弾道(短距離戦術)ミサイル2発 (鉄) |
55 | 2022年1月17日 | 弾道(短距離戦術)ミサイル2発 |
56 | 2022年1月25日 | 長距離巡航ミサイル2発 |
57 | 2022年1月27日 | 弾道(短距離戦術)ミサイル2発 |
58 | 2022年1月30日 | 弾道ミサイル1発「火星12」、最大5,000km? |
59 | 2022年2月27日 | 大陸間弾道ミサイル(ICBM級 火星17)1発 (大陸間) |
60 | 2022年3月5日 | 弾道ミサイル1発 |
61 | 2022年3月16日 | ICBM級「火星17」? (大陸間?) |
62 | 2022年3月20日 | ロケット砲4発 |
63 | 2022年3月24日 | 弾道ミサイル1発「火星17」、最大1万5,000km超?(大陸間) |
64 | 2022年4月16日 | 弾道(短距離戦術)ミサイル2発 |
65 | 2022年5月4日 | 弾道ミサイル1発 |
66 | 2022年5月7日 | 潜水艦発射弾道ミサイル「SLBM」1発 |
67 | 2022年5月12日 | 超大型ロケット砲・短距離弾道ミサイル3発 |
68 | 2022年5月25日 | 1発目:大陸間弾道ミサイル1発「火星17」(ICBM)推定(大陸間) 2発目:短距離弾道ミサイル1発「イスカンデル(改)」推定(失敗?) 3発目:短距離弾道ミサイル1発「イスカンデル(改)」推定 |
69 | 2022年6月5日 | 短距離戦術ミサイル・超大型ロケット砲8発 |
70 | 2022年6月12日 | 多連装ロケット砲 |
71 | 2022年7月10日 | 多連装ロケット砲 |
72 | 2022年7月11日 | 多連装ロケット砲 |
73 | 2022年8月17日 | 巡航ミサイル2発 |
74 | 2022年9月25日 | 弾道ミサイル「SLBM」1発 |
75 | 2022年9月28日 | 弾道(短距離戦術)ミサイル2発 |
76 | 2022年9月29日 | 短距離弾道ミサイル2発 |
77 | 2022年10月1日 | 短距離弾道ミサイル2発 |
78 | 2022年10月4日 | 中距離弾道ミサイル「火星12」1発 |
79 | 2022年10月6日 | 短距離戦術ミサイル・弾道ミサイル(超大型ロケット砲)2発 |
80 | 2022年10月9日 | 弾道ミサイル(超大型ロケット砲)2発 |
81 | 2022年10月12日 | 長距離戦略巡航ミサイル2発 |
82 | 2022年10月14日 | ①短距離弾道ミサイル1発 ②ロケット砲 |
83 | 2022年10月18日 | ①砲撃(黄海) ②砲撃(日本海) |
84 | 2022年10月23日 | ロケット砲10発(北朝鮮籍船への韓国軍措置への対抗措置) |
85 | 2022年10月28日 | 短距離弾道ミサイル2発 |
86 | 2022年11月2日 | ①短距離戦術ミサイル4発 ②地対空ミサイル23発 ③戦略巡航ミサイル2発 |
87 | 2022年11月3日 | ①スカッドミサイル?×1 ②短距離戦術ミサイルと超大型ロケット砲弾×5 |
88 | 2022年11月5日 | ①短距離戦術ミサイル2発 ②超大型ロケット砲弾2発 |
89 | 2022年11月9日 | 短距離弾道ミサイル1発 |
90 | 2022年11月17日 | 短距離弾道ミサイル1発 |
91 | 2022年11月18日 | 大陸間弾道ミサイル(ICBM)「火星17」1発 (大陸間) |
92 | 2022年12月5日 | ロケット砲130発余 |
93 | 2022年12月6日 | ロケット砲90発余 |
94 | 2022年12月15日 | 大出力の固体燃料エンジン、燃焼実験、成功 |
95 | 2022年12月18日 | 準中距離弾道ミサイル2発 |
96 | 2022年12月23日 | 短距離弾道ミサイル2発(1発) |
97 | 2022年12月31日 | 短距離弾道ミサイル3発 |
98 | 2023年1月1日 | 短距離弾道ミサイル1発 |
99 | 2023年2月18日 | 大陸間弾道ミサイル(ICBM)「火星15」1発 (大陸間) |
100 | 2023年2月20日 | 短距離弾道ミサイル2発 |
101 | 2023年2月23日 | 戦略巡航ミサイル4発 |
102 | 2023年3月9日 | 短距離弾道ミサイル6発 |
103 | 2023年3月12日 | 戦略巡航ミサイル2発 |
104 | 2023年3月14日 | 短距離弾道ミサイル2発 |
105 | 2023年3月16日 | 大陸間弾道ミサイル(ICBM)「火星17」1発 (大陸間) |
106 | 2023年3月19日 | 短距離弾道ミサイル1発(戦術核使用を想定) |
107 | 2023年3月22日 | 戦略巡航ミサイル4発 |
108 | 2023年3月21日~23日 | 核無人水中攻撃艇、実験、成功 (初) |
109 | 2023年3月27日 | ①短距離弾道ミサイル2発、 ②核無人水中攻撃艇、実験、成功 |
110 | 2023年4月13日 | 大陸間弾道ミサイル(ICBM)「火星18」1発(初)(大陸間) |
111 | 2023年5月31日 | 軍事偵察衛星「マルリギョン(万里鏡)1号」1発、宇宙・衛星#6(軍事偵察衛星・初) |
112 | 2023年6月15日 | 短距離弾道ミサイル2発 |
113 | 2023年7月12日 | 大陸間弾道ミサイル(ICBM)「火星18」1発 (大陸間) |
114 | 2023年7月19日 | 短距離弾道ミサイル2発 |
115 | 2023年7月22日 | 戦略巡航ミサイル数発 |
116 | 2023年7月24日 | 短距離弾道ミサイル2発 |
117 | 2023年8月24日 | 軍事偵察衛星「マルリギョン(万里鏡)1号」1発、宇宙・衛星#7(軍事偵察衛星・2回目) |
118 | 2023年8月30日 | 短距離弾道ミサイル2発 |
119 | 2023年9月2日 | 戦略巡航ミサイル2発 |
120 | 2023年9月13日 | 短距離弾道ミサイル2発 |
121 | 2023年11月21日 | 軍事偵察衛星「マルリギョン(万里鏡)1号」1発、宇宙・衛星#8(軍事偵察衛星・3回目)、成功 |
122 | 2023年11月22日 | 弾道ミサイル |
123 | 2023年12月17日 | 短距離弾道ミサイル1発 |
124 | 2023年12月18日 | 大陸間弾道ミサイル(ICBM)「火星18」1発 (大陸間) |
125 | 2024年1月5日 | 砲撃192発、北方限界線(NLL)の北側の海上緩衝区域 |
126 | 2024年1月6日 | 砲撃60発以上、北方限界線(NLL)の北側の海上緩衝区域 |
127 | 2024年1月7日 | 砲撃90発以上、北方限界線(NLL)の北側の海上緩衝区域 |
128 | 2024年1月14日 | 中距離弾道ミサイル1発 |
129 | 2024年1月24日 | 戦略巡航ミサイル数発 |
130 | 2024年1月28日 | 潜水艦発射戦略巡航ミサイル数発 |
131 | 2024年1月30日 | 戦略巡航ミサイル数発 |
132 | 2024年2月2日 | 巡航ミサイル数発 |
133 | 2024年2月11日 | 多連装ロケット砲 |
134 | 2024年2月14日 | 巡航ミサイル数発 |
135 | 2024年3月18日 | 短距離弾道ミサイル2発、短距離弾道ミサイル1発 |
136 | 2024年4月2日 | 中長距離弾道ミサイル1発「火星16」 (初) |
137 | 2024年4月19日 | 巡航ミサイル、地対空ミサイル数発 |
138 | 2024年4月22日 | 短距離弾道ミサイル |
139 | 2024年5月17日 | 短距離弾道ミサイル数発 |
140 | 2024年5月27日 | 軍事偵察衛星「マルリギョン(万里鏡)1-1号」1発、宇宙・衛星#9(軍事偵察衛星・4回目)、空中爆破 |
141 | 2024年5月30日 | 短距離弾道ミサイル18発 |
おわりに・・・
今回は「北朝鮮ミサイルの開発経過」をご紹介しました。
外務省資料や防衛白書などを参照して概要の大まかな内容を列記しました。
参照元の資料により、兵器の種類・発数などの情報に不符合がありました。
そのため、大まかな流れとして記載していますので念のためご了承ください。
1993年以降、100回余のミサイル等の発射があったことがわかりました。
これは主に、日米韓が捕捉できた情報に基づいた数字になります。
なおかつそれらは、公開情報です。
もしかすると、非公開情報があるのかも知れません。
加えて、日米韓が捕捉できていない情報がもしかするとあるのかも知れません。
以上のことをふまえてご理解いただけますとありがたいです。
図表1から、開発にはたいへん多くの時間がかかることがわかります。
また、開発を継続することで、次第に性能が向上していることもわかります。
開発とは、その政治的戦略的な当該主体の意図の部分はここでは触れませんが、
その進歩や発展や進化や向上や成長を目指すことは明白のようです。
今回の経過は、その「事柄の性質」上、比較的入手しやすい形で公開されていたように思います。
そういった「事柄の性質」(安保理決議等の国際関係上の諸事情のこと)をのぞけば、
開発することに対する思いがみえてくるのかも知れません。
しかし、立場によっては、開発行為を肯定的に受け止めることができない場合があります。
それがこのミサイル開発問題のたいへんナーバスな部分なのかもしれません。
立場が違うということで発生してしまう ”コンフリクト” はたいへん悩みの大きな問題です。
そのため、ここでは中立的な立場でコメントさせています。
以上から、開発に向けた努力は大なり小なりどこの主体でも行われていることだといえます。
「事柄の性質」をのぞけばですが、
開発を ”やめる” ことはもはや難しいのかもしれません。
一方で、「事柄の性質」はたいへん重要な関心事です。
ですから、
これまでも言ってきた「防衛比例原則」がとても大切になってきます。
加えて、
外交や国際関係やバイラテラル・トライラテラル・マルチラテラルな関係が重要になってきます。
日本でも他国でもさまざまに努力がなされてきました。
引き続き、あるべき秩序の構築に向けた、
あるいは、起こってはならない事態の抑止に向けた、
さまざまなレベルやチャンネルでの取り組みが重要なのではないでしょうか。
これを機に平和の構築はたいへん複雑で時間を要する努力の蓄積との受け止めのもと、
偶発的衝突や不測事態の抑止に尽力されている現場のみなさんの労をねぎらいましょう。
知った「今がスタートライン!」です。