今回は「危機3環理論」をご紹介します。
「体制・事態」に関するお話しです。
わたしたちの暮らしは、平和なときも、日常のおだやかなときもあります。
災害や大きな事故、組織的な事件が関与する事件、…戦争などもあります。
こういった、「危機」に直面するときの制度・体制の観点から大枠で整理しています。
危機事態3環モデル
危機三環理論(図)
図1は「危機事態3環モデル」です。
・危機3(Ⅲ)環モデル(理論)
・事態三(Ⅲ)環モデル(理論)
・危機管理体制3環
という言い方でも大丈夫です。
危機管理体制Ⅲ環モデルの体制分類
体制としてはおおきく3つに分類しています。
▶①平常時
▶②境界時
▶③非常時
です。これは、
「平常時」と「非常時」を明確に移行できない体制・事態が存在していることから、
「境界時」として概念整理しています。
3つの体制下において、緊急に発生している事態のことを
▶「緊急事態」または「緊急時」としています。
緊急事態(緊急時)の危機を収束するための努力を
▶「緊急事態対応(対処)」、緊急時対応(対処)、緊急対応(対処)と言います。
①平常時
平常時とは、
通常時や平時の状態・体制こと。
危機が起こっても通常の態勢で対処できるレベルの事態のこと。
②境界時
境界時とは、
平常時から非常時への移行期間、経過期間のこと。
緊急の事態が発生しているが明確に認定できないときで、非常時体制を宣していないとき。
緊急の事態が発生しているとの覚知に至っていないときで、平常体制からいずれかの危機対応体制へ移行したときのうち、非常時体制を宣していないとき。
③非常時
非常時とは、
通常時や平時を超えた非常体制とき。
明確に非常体制への移行が宣言されたときのこと。
平常時の対処態勢を超えるレベルの事態が発生しているときのこと。
平常時では通常実施しない対処を要する事態が発生しているときのこと。
緊急事態(緊急時)
緊急時は、
緊急で対処が必要なとき。平常時・非常時の体制としての考慮要件なし。
としています。
これは、緊急の対応が必要な事案はさまざまにあることを意味するものでして、
緊急での対応は体制横断的に起こることも示しています。
【Risk Management Theory】~ Ⅲ-Ring of Risk ~(Fig.)
小括
危機の事態は、論者によってさまざまあることがわかっています。
分野、業界・団体、研究者、扱っている業務によってみているものの違いがあるからそうなります。
危機管理という言葉をみても、安全保障、経済、企業、消防、防災…などでいろいろな利用がされていることは皆さんご承知のとおりです。
以上から、今回説明した危機管理理論「Ⅲ環モデル」はすべてに通用するわけではないことをあらかじめ付言しておきます。
しかし、安全保障や、有事、災害時、大規模事故、パンデミックなどの非常/異常な事態が発生することを視野に定義化を試みているのが本音のところです。他の分野にも汎用性がある可能性を含めて、ご紹介としています。
おわりに・・・
今回は「危機3環理論」をご紹介しました。
体制には
①平常時
②境界時
③非常時
があり、
緊急事態は①②③の体制横断的に起こることを説明しました。
この概念モデルは、筆者が分類、定義し、作成したものです。
体制の変更は、危機を体系的に定義することでとらえやすくなります。
危機には論者により定義がさまざまであることは危機管理の研究者でも共通認識のようです。
また、この概念モデルは、
安全保障、組織内危機管理および緊急事態管理を見据えて整理しています。
もちろん、個人としての安全安心に役立つフェースやステージ分類にもなっています。
ここで余談ですが、
世界の安全保障からみた情勢はこれまでも不断に変化してきました。
政治領域や当局などでは、この変化をとらえるよう努力してきました。
一方で、目に見えた変化として現代では状況が推移しています。
あるいは、そのような変化を感じている読者も多いのかも知れません。
そういった意味で、
私たち国民にも次第に安全保障の変化が広く認識されるようになっているようです。
危機緊急の状態に進む現象は、
【第37回】 危機管理「竜巻理論
【第41回】 竜巻理論と糖尿病
で紹介したようにエスカレーションで進みます。
安全保障にかかわらず
・現状はどこに位置しているのか?
・今後の経過はどのようにすすむのか?
・予防のチェックポイントはどこにあるのか?
・危機予測としてどのように検討できるのか?
・各種ルールなどはどこに強みがあって、どこに弱点があるのか?
・抜けや漏れのような死角となる部分はどこにあるのか?
・死角はどこで発生しやすいのか?その傾向は?
など、さまざまな望まない現象を検討する際に役立ちます。
知った「今がスタートライン!」です。