「南海トラフ地震」という言葉を聞いたことがある人も多いのかも知れません。
「南海トラフ巨大地震」という言葉が使われることもあります。
今回は、「南海トラフ地震」において、どのような「情報」が発表されるのかについて
概要を簡単に解説していきたいと思います。
南海トラフ地震とは?
南海トラフ地震では、下図↓のような震度分布が想定されています。
想定震源域を震源とする地震が発生したことによる震度分布です。
「南海トラフ地震に関連する情報」の種類及び発表条件 (出典:気象庁)
種類は、「2種類」です。
情報名 | 情報発表条件 |
---|---|
南海トラフ地震臨時情報 | ①その現象が南海トラフ地震と関連するか「調査を開始」した場合 または、「調査を継続」している場合 ②「調査結果を発表」する場合 |
南海トラフ地震関連解説情報 | ①調査結果を発表後に「状況の推移等を発表する場合」 ②評価検討会定例会合での「調査結果を発表」する場合 |
「南海トラフ地震臨時情報」に付記するキーワードと条件 (出典:気象庁)
情報名の後にキーワードを付記して「南海トラフ地震臨時情報(調査中)」等の形で情報発表します。
キーワード | 各キーワードを付記する条件 |
---|---|
調査中 | ・監視領域内でM6.8以上の地震が発生 ・1カ所以上ひずみ計の有意な変化+他の観測点でも関連の変化 =想定震源域のプレート境界でゆっくりすべり発生の可能性 ・その他、固着状態の変化を示す可能性を観測など |
巨大地震警戒 | ・想定震源域内のプレート境界において、M8.0以上の地震が発生 |
巨大地震注意 | ・監視領域内で、M7.0以上の地震が発生 |
調査終了 | ・「巨大地震警戒」「巨大地震注意」のいずれにも当てはまらない現象と評価した場合 |
つまり、例えば「想定震源域周辺」(監視領域)でM6.8以上の地震が発生すると、
発生から5~30分後には、
▶【臨時情報「調査中」】が発表されることになります。
発生から最短2時間後には、
▶【巨大地震「警戒」】(~1週間程度の期間、発表されるようです。)
▶【巨大地震「注意」】(~1週間程度の期間、発表されるようです。)
▶【調査終了】
の3つのいずれかが発表されるということになります。(図2↓)(出所:内閣府、南海トラフ地震の多様な発生形態に備えた 防災対応検討ガイドライン 【第1版】P28)
「南海トラフ地震臨時情報」が発表されたら・・・
それでは、「南海トラフ地震臨時情報」が発表さると、
私たちの生活にどのような影響が出るのでしょうか?
私たちはどのように行動/対応することが望ましいのでしょうか?
具体的な観測結果/評価結果に基づく行動の目安がありますので参考にしてください。(図3)
(出所:内閣府、南海トラフ地震の多様な発生形態に備えた 防災対応検討ガイドライン 【第1版】P30)
各市町村は、「事前避難対象地域」を設定しています。
これは、「対象の地域の人は避難をしてください。」ということが決められた地域のことです。
「後発地震に伴う津波に備えて、事前に避難することにより、より安全性を高めることができる地域」と説明されています。
「後発地震」という表現は、その後に起こる可能性のある「南海トラフ地震」を指しているものと考えられます。
臨時情報(巨大地震警戒)発表時、市町村は「事前避難対象地域」に避難指示等を発令します。
地域内の住民に対して、事前の避難を呼びかけます。
「事前避難対象地域」は、事前避難対象者の特性に応じて、
▶「高齢者等事前避難対象地域」と
▶「住民事前避難対象地域」
の2種類に分けられています。
ここでは、「巨大地震警戒」(M8.0以上の地震発生)時の期間および地域の対応要領をご紹介します。
(図4↓)
少し解説しますと、
「高齢者等事前避難対象地域」にお住まいの住人の中でも、特に、要配慮者・高齢者等は、「当初の1週間を目途に避難」が求められます。
そして、それぞれの期間、各行動内容で防災対応をとりつつ、段階的に注意のレベルを下げていくというものです。
「住民事前対象地域」にお住いの住人は、全住民が「当初の1週間を目途に避難」をします。
それぞれの期間、各行動内容で防災対応をとりつつ、段階的に注意のレベルを下げていくといったイメージになります。
ですが、注意のレベルを下げていくとは言いましても、
南海トラフ地震の発生リスクがおさまったわけではありません。
そのため、通常の生活のレベルに行動様式が戻ったとしても、
「地震への注意」は引き続きしていかなければならないということです。
1854年に発生した安政南海地震は、安政東海地震の発生約32時間後に起こりました。
1944年に発生した昭和南海地震は、昭和東南海地震の発生2年後に起こりました。
おわりに・・・
南海トラフ地震は、2030年代(2035年±5年間)の発生が推定されています。
これは、高知県室戸岬の北西にある室津港の地震隆起の観測データから算定されいます。
この観測データとは、室津港の水位の記録の日記が参考のデータ元ということです。
▶ 1707年 地震発生→その後1.8m隆起していることが記録された。
▶ 1854年 地震発生→その後1.2m隆起していることが確認された。
▶ 1946年 地震発生→その後1.15m隆起していることが確認された。
▶ 2035年 ←次の隆起の起こるだろうタイミング。バラつきがあるため±5年としている。
つまり、学界ではほぼ南海トラフ地震は発生することになるという見解のようでして、
その発生する時期は、2030年台の約10年間のスパンで”特に””特に”警戒を必要とすることを説明しています。
むろん、巨大地震発生の前というのは、地殻のひずみが極限までたまっているということですから、
2030年代に向けて全国各地で大きな~小さめの地震が頻発していくことになるのは言うまでもありません。
いつ起こっても、身の安全を確保できる行動がとれるよう、
ぜひ、必要な情報を入手しながら、
日常の生活習慣として、イメージしたり、訓練を取り入れて備えるなどしていきましょう。
①避難、②備蓄、③連絡を確認してください!
①…避難経路や避難所を確認、いつでも動ける準備、ハザードマップの確認
関連:【第2回】 ハザードマップ:「まち」を知る。
【第4回】 ハザードマップ第2弾:「NHK版」を使ってみる。
【第7回】 避難所:災害の発生が切迫したときに冷静に確認できる。
【第18回】 避難所アプリ:使い方!気になる地点の避難場所や災害リスクを知ろう!
【第8回】 被害を避ける行動:ハザードマップの使い方。
【第9回】 最新気象情報:ウェザーニューズLiVEを活用しよう!
②…数日過ごせる食糧・飲料の準備を、買い占めはつつしみましょう
関連:【第12回】備蓄品①:避難生活や被災生活の初期段階で必要な防災グッズ。
【第30回】備蓄品②:日常~非常時!普段使いでいざという訓練を生活習慣に!
【第10回】非常持出品①:優先度【高】の防災グッズは?…あれもこれも持ち出したい。まずは「命」。その次として参考にしよう!
【第11回】非常持出品②:優先度が「高め」な防災グッズは?…いざとなったら思いつかない。そんなときのための参考リスト!
③…家族や知人や職場間の連絡系を確認、
津波のリスクがある地域では、”避難の約束動作”を確認しましょう
=「津波警報が出たら家に戻らない、●●(一時避難場所など)で待ち合わせだよ!」など
…大切な人がまだ家に残ってるかも!?。
これは、連絡がとれないときに多くの人を結果後悔に向かわせる可能性のある落とし穴です。
関連:【第83回】 公衆電話:緊急・災害時の予備の連絡手段としても!
【第84回】 災害伝言ダイヤル(171):災害時の非同期による情報共有手段として活用を!
2024年8月8日(木)19時15分、気象庁から「南海トラフ地震臨時情報(巨大地震注意)」が発表されました。
当局はこれまで、巨大地震の発生を注意喚起する情報を整備してきました。
一方で、臨時情報の”解除”、いわゆる、終結の方法、その手続きは明らかになっていません。
つまり、日頃から地震の発生に備えて生活を送る。
それは、南海トラフ巨大地震が発生するまで(つづく)。
ことを意味するのかもしれません。
したがいまして、8月8日16時43分の日向灘を震源とする地震を皮切りに、発生するそのときまで、備えを本格化させ続けていくことが大切になるのではないでしょうか。
知った「今がスタートライン!」です。
↓ここから広告↓
↑ここまで広告↑