【第29回】 宇宙天気予報②:高度化の検討会…そのまとめを紹介します!

宇宙
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総務省が所管して「宇宙天気予報の高度化の在り方に関する検討会」行われました。

検討会では「過酷な宇宙天気現象が地球全体にもたらす『災害』」と捉えています。

「宇宙天気が社会経済にもたらすリスク」
「極端な現象がもたらす最悪シナリオと対処」
「観測・分析・予報・警報の強化」
「学術研究、人材、コミュニティ、国際連携の強化」
「情報通信研究機構(NICT)に期待される役割」

といった検討の結果が示されています。

「宇宙天気予報の高度化の在り方に関する検討会」とは

検討会の経過

①第1回:令和4年1月12日
②第2回:令和4年1月26日
③第3回:令和4年2月4日
④第4回:令和4年2月18日
⑤第5回:令和4年3月18日
⑥第6回:令和4年3月25日
⑦第7回:令和4年4月12日
⑧第8回:令和4年4月26日
⑨第9回:令和4年5月10日
⑩第10回:令和4年6月21日
◆宇宙天気予報の高度化の在り方に関する検討会報告書:令和4年6月21日

検討会の目的

太陽活動によって航空無線、電力網、通信・放送・測位システムなどの社会インフラに異常を発生させ、我々の社会経済活動に多大な影響を与えるおそれがある。

このため、情報通信研究機構(NICT)では、太陽活動や電離圏・磁気圏を観測・分析し、24時間365日の有人運用による予警報(宇宙天気予報)を関係機関に提供している。

また、宇宙基本計画(令和2年6月30日閣議決定)においては、総務省の役割として、国内外の関係機関等と連携し、観測・分析システムの更なる高度化を図るとともに、観測データを用いたシミュレーション技術の研究を行い、宇宙天気予報システムの高精度化等を進めることとされている。

(中略)

さらに国際社会においては、本年、国連防災機関は宇宙天気を対処すべき災害の一つに位置づけるとともに、英国政府は深刻な宇宙天気への備えに関する国家戦略を発表するなど、宇宙天気に対する対処計画を本格的に準備しようとする動きがある。

以上を踏まえ、宇宙天気予報に関して分野横断的な検討会を開催することにより、国家としての観測・分析能力や対処の在り方等を検討し、報告書をとりまとめる。

(出所:宇宙天気予報の高度化の在り方に関する検討会報告書)

検討事項

①NICT等における観測・分析・予測・警報の強化の在り方

②社会インフラに対する影響と対処の在り方

③上記を踏まえた政策的な対応の在り方

④その他

座長等

座長 草野完也 名古屋大学宇宙地球環境研究所 所長

座長代理 石井守 国立研究開発法人情報通信研究機構 電磁波伝搬研究センター長

宇宙天気予報の高度化の在り方に関する検討会報告書

第1章 国内外の動向と現状

太陽活動によって通信・放送・測位システム、衛星運用、航空無線、電力網などの社会インフラに異常を発生させ、我々の社会経済活動に多大な影響を与えるおそれがある。

宇宙天気の変動は日常的に発生しており、大規模な変動が発生した場合には無線通信の途絶、人工衛星の故障、大規模停電が発生するおそれがある。

本検討会では、宇宙天気のリスクに対する国家の対処能力を高めるため、観測・分析・予測・警報の強化の在り方等を検討した。

宇宙天気現象とは、太陽から到来する現象や地球周辺で発生する現象であり、その変動は日常的に発生している。

宇宙天気現象は、複数の現象が連鎖的・複合的に発生するものである。

地球が受ける影響は現象の種類により時間差がある。
 ▶電磁波・放射線は光の速さで進むことから、現象が発生してから約 8分間で地球に到達する。
 ▶高温の電気を帯びたガスは 1 日~5 日程度かけて地球に到達する。
 ▶このように地球が受ける影響は現象の種類により時間差がある。

異常現象を探知すると同時に被害が発生する場合があるため、事前の準備が難しい自然現象といえる。こうした太陽活動は、おおむね 11 年周期で変化することが知られている。

情報通信研究機構(NICT)は、我が国唯一の情報通信分野を専門とする公的研究機関である。

短波帯の電波に関しては、戦前は海軍、陸軍、逓信省電気試験所により様々な研究が行われた。
 ▶その後は逓信省電気通信研究所(1948 年発足)
 ▶郵政省電波研究所(1952 年新設)
 ▶通信総合研究所(1988 年名称変更)
 ▶独立行政法人通信総合研究所(2001 年発足)と引き継がれ、
 ▶現在の NICT に至っている。

NICT の宇宙天気予報を利用する主な産業分野は、通信・放送、測位利用、航空、電力、官公庁等となっている。

宇宙基本計画(令和 2年6月30日 閣議決定)において、
 ▶24 時間365 日の有人運用による宇宙天気予報の配信
 ▶国内外の関係機関等と連携
 ▶電離圏や太陽活動等の観測・分析システムの更なる高度化
 ▶宇宙天気予報システムの高精度化等
が目標として示されている。

国連防災機関における動きでは、宇宙天気現象がもたらすリスクに対しては、国際社会では政策や方針を強化し、具体的な対処につなげようとする動きが見られる。

米国では、米国の安全保障・経済活動・日常生活は人工衛星や航空機、通信ネットワーク、ナビゲーションシステム、電力網に依存しているが、これらの社会インフラは宇宙天気現象がもたらす脅威に直面していると認識し、国家戦略及び組織的対策を強化している。

英国では、人間・経済・環境・インフラに重大な被害をもたらす可能性のある約40 種類のリスクを評価した「国家リスク登録簿(National Risk Register)」を定期的に発表している。この中で、発生した場合には広範かつ重大な影響があることを踏まえ、「深刻な宇宙天気(Severe space weather)」が国家リスクのひとつとして2011 年に登録されている。

ドイツでは、ドイツ航空宇宙センター(German Aerospace Center(DLR))は 100 年以上の電磁波と電離圏との相互作用に関する研究の歴史を有している。2004 年からは電離圏にフォーカスした宇宙天気の研究を開始している。

国際協力によって宇宙天気予報を推進する枠組みとして、国際宇宙環境業務機関(ISES)がある。

第2章 今後の観測・分析・予報の在り方

宇宙天気予報の基礎はセンサーを用いた観測活動にあることから、NICT は、宇宙天気予報の高度化を実現するため、引き続き、観測センサーの充実・強化を推進するべきである。

進するべきであり、宇宙天気予報の信頼性を高めるため、太陽風、磁気圏、電離圏等の各領域のリアルタイム計算について、各領域の数理モデルの高精度化やデータ同化手法の高度化等の取り組みを進めるべきである。

宇宙天気現象の「観測」については、既に大学等において観測機材を用いた学術研究が行われているところであり、今後も自由な環境で民間が観測活動を行い、宇宙天気現象の理解向上に努めていくことは歓迎されるべきことである。

民間が宇宙天気現象の予報を行い、無償・有償を問わずそれらを他者に提供する場合には、予報の品質確保に向けた取り組みが必要になると考えられる。

第3章 警報に関する体制強化

NICT では、太陽、太陽風、磁気圏、電離圏のリアルタイムデータを監視して、宇宙天気予報を提供している。その際、相当な被害が生じるおそれがあると判断される大型の太陽フレア爆発等の現象を観測した場合には、臨時情報として NICT のウェブサイト上に「お知らせ」を公表する。

国立研究開発法人情報通信研究機構法に基づき NICT には異常現象に対して迅速かつ的確に警報を発表することが求められている。

しかし、2021 年 10 月 29 日に発生した太陽フレア爆発を受けて NICT が行った臨時情報の提供方法について、その後、総務省とともにレビューを行った結果、現在の警報伝達体制には課題を抱えていることが判明している。

NICT は、そうした関係省庁とのコミュニケーションを平時から丁寧に行うとともに、緊急時には関係部署に確実に情報を送り届ける仕組みを確立するべきである。

我が国の安全保障における宇宙空間の重要性が増大するとともに、社会の宇宙システムへの依存度がますます高まる一方、宇宙空間の持続的かつ安定的利用を妨げるリスクは深刻化しており、宇宙安全保障の確保は喫緊の課題となっている。こうしたリスクに対応するため、宇宙基本計画(令和 2 年 6 月 30 日閣議決定)では、宇宙状況把握能力の向上が目標として設定されている。

宇宙天気予報の目的は、ハザードを正確に把握・予測することにより、社会インフラにもたらされる宇宙天気現象のリスクを軽減することにある。このため、地震・津波における「マグニチュード」と「震度・津波警報」の関係と同様、宇宙天気の物理現象の規模に関するものだけでなく、社会インフラのリスク(被害)に着目した予報・警報も併せて行っていくことが求められる。

社会的影響の度合いを考慮した予報・警報の精度を向上させるためには、社会インフラ側に実際に生じた誤動作、混信、不具合、故障等の被害に関する情報を NICT が円滑に収集できるようにする必要がある。

宇宙天気予報で使用される NICT の基準類は、不断に見直しを行っていくことが望まれる。また、太陽フレア爆発等の大規模な現象が発生した場合には、観測データや国内外での被害状況を踏まえて、臨機応変に基準類を見直していくことが求められるためその会議体や仕組みを検討すべきである。

第4章 社会インフラへの影響と効果的な対処

極端な宇宙天気現象がもたらす最悪シナリオを検討した。
(100 年に 1 回またはそれ以下の頻度で発生する極端な宇宙天気現象(いわゆるエクストリーム・イベント))
 ▶通信・放送・レーダーへの被害
 ▶衛星測位への被害
 ▶衛星運用への被害
 ▶航空運用への被害
 ▶電力分野への被害

宇宙天気現象への災害対策基本法の適用を含め、産学官連携による相互協力、計画的な行動、対処能力の増強の積み重ねによって、国家全体として危機管理にあたるべきである。

我々は、前述の「最悪シナリオ」のワーストケースも踏まえつつ、宇宙天気を目の前にある現実のリスクとして捉え、国家レベルで危機管理を行うべき対象であると認識する必要がある。

極端な宇宙天気現象は、宇宙環境が人類にもたらす異常な自然現象である。極端な宇宙天気現象がもたらすハザードは、地震・津波、水害・土砂災害、火山噴火等の大規模な自然災害がもたらす被害と並ぶリスクであり、我々は他の自然災害に対する備えと同じように国家的・制度的な対策を進める必要がある。

図1.宇宙天気現象と社会影響の関係(出典:NICT)

目指すべき対処の方向性としては、宇宙天気現象のハザード(=被害を引き起こす可能性のある危害要因)そのものを低減することは困難であることから、社会インフラ側の脆弱性を低減することにより、リスク(被害)を最小化するアプローチが必要となる。

図2.宇宙天気現象の対処において目指すべき方向性(出所:NICT)

電離圏の影響を受ける周波数帯を使用する無線局免許人は、こうした宇宙天気現象が発生した場合には通信・放送の途絶が発生し得ることについて十分に理解し、必要に応じて代替手段を備えておくべきである。

衛星測位システムは、政府や企業だけでなく、一般消費者や農林漁業・輸送交通分野の従事者も日常的に使用するものである。このため、関係企業・関係団体等は、衛星測位システムのエンドユーザーに対する幅広い周知啓発活動を推進するとともに、深刻な宇宙天気現象が発生した場合に警報を送り届ける方策についても検討を行うべきである。

我が国においては、実際に宇宙天気現象が原因となって衛星本体の損失に至ったと推定される例が 2 件あり、2000 年の X 線天文衛星「あすか」(ASTRO-D)及び2003 年の環境観測技術衛星「みどり 2 号」(ADEOS-II)の事例が報告されている。

我が国においては、実際に宇宙天気現象が原因となって衛星本体の損失に至ったと推定される例が 2 件あり、2000 年の X 線天文衛星「あすか」(ASTRO-D)及び2003 年の環境観測技術衛星「みどり 2 号」(ADEOS-II)の事例が報告されている。

衛星コンステレーションによりグローバルなインターネット接続サービスを提供している米国 SpaceX 社は 2022 年 2 月、ケネディ宇宙センター(フロリダ州)から 49 機の Starlink 衛星を地球低軌道に打ち上げたものの、地磁気嵐によって暖められ密度が増した大気による抵抗を受けたため、大気ドラッグと呼ばれる現象により 40 機の衛星が大気圏に再突入し喪失したと発表している。

このため、衛星を開発・運用する企業等は、宇宙天気現象の影響を十分に考慮して、研究開発や衛星設計、衛星運用を行うべきである。

今後は、シミュレーション等によって個別の衛星ごとに深部帯電の発生確率を評価できるような取り組みを進めるべきである。

デリンジャー現象や電離圏嵐、プラズマバブル、太陽高エネルギー粒子(SEP)等の宇宙天気現象によって、航空運用に必要な通信や測位に障害が引き起こされるおそれがある。

関係機関及び関係業界は、宇宙天気現象がもたらす影響のリスク評価手法や航空運用現場における効果的な情報活用等の在り方について共同で検討を進めるべきである。

現在のところ、NICT や ICAO から情報発信されている宇宙天気予報サービスについては、航空運用の現場で直接的には利用されていない。

このため、宇宙天気に関する情報が航空会社やパイロットによって、日々の運行の中で迅速かつ容易に利用できるよう、新しい仕組みの導入やルールへの落とし込みが検討されるべきである。

磁気圏じょう乱によって送電線に過電流としての地磁気誘導電流(GIC)が発生するため、電圧低下等が発生する可能性がある。

このため、電力事業者においては、電力系統に生じる GIC の発生メカニズムに対して、関連法令に基づき独自基準を設けつつ設備の監視体制を確立し、変圧器や保護リレー等に対して一定の対策を講じてきている。

宇宙放射線が地球大気圏に降下すると、大気を構成する様々な原子や分子と衝突し、空気シャワー反応を起こして二次宇宙線が発生する。これが航空機高度で降り注ぐことによって、航空機に搭乗している乗務員等の被ばく線量が増大することになる

航空機の乗務員に対する年間の被ばく量の上限として 5mSv とするガイドラインが示されており、乗務員等の被ばくを防止するため、大規模な宇宙天気現象の発生時には航路変更が必要となる可能性がある。

軌道上で活動する宇宙飛行士は宇宙放射線に常に曝されているため、被ばく量は静穏時でも約 0.5~1mSv/日となり、国際宇宙ステーション(ISS)滞在中の1 日当たりの放射線量は地上での数ヶ月分に相当する。

このため、ISS に滞在する日本人宇宙飛行士の生涯実効線量制限値は宇宙航空研究開発機構(JAXA)により定められ、その値を上回ることのないよう管理されている。

有人の宇宙活動では、活動シーンや活動場所によってきめ細かい被ばくに関する基準値が必要であり、具体化に向けた検討が期待される。

第5章 学術研究の強化

宇宙天気現象は太陽に起因して地球全体に発生するハザードであることから、その発生メカニズムや発生頻度、社会的影響を正確に予測できるようにするためには、大規模な科学的アプローチが必要である。

重点的な研究課題を設定しつつ分野横断的な取組を強化し、国内外の観測施設も活用しながら宇宙天気現象の全体像を解明していくイニシアチブが必要である。

近代に人類が本格的に経験した大規模な宇宙天気現象は、1859 年に発生した強力な磁気嵐(キャリントン・イベント)等、わずかな事例しか判明していない。また、数十年前までは十分な精度の観測センサーが発明されていなかったため、過去の現象の発生原因や発生規模については未知な部分が多い。

現在行われている宇宙天気予報は、太陽において約 8 分前に発生した直近の現象に基づく予測である。太陽フレアや太陽電波バーストの現象は光の速さで地球に到達するため、原理上、太陽近傍の観測衛星でその発生を探知したときには、既に現象が地球に到達してしまっていることになる

太陽活動の精緻な予測シミュレーション等の予測技術は重要であり、高度な予測技術によって宇宙天気予報を確実なものとしていくべきである。

大学等で得られた観測データについては、可能な範囲で他機関や産業界とのリアルタイムの共有を目指すことにより、産業界のためにも利活用されるように取り組むとともに、学術界に対する産業界からの協力・支援や連携研究に結びつけていくことが期待される。

第6章 人材とコミュニティの強化

複雑・難解な宇宙天気現象に挑戦するためには、学術研究で活躍する研究者・技術者等の知的人材を育成するともに、行政や産業分野においてリスクに備えることのできる専門人材を中長期的に育成・確保していく必要がある。

研究者・技術者のキャリアパスや人生設計を考慮しつつ、学術界や産業界での彼らの登用や処遇を総合的に改善していく取組が必要となっている。

複合現象としての宇宙天気現象を取り扱うためには、それぞれの分野で行われていることの全体を俯瞰し、分野横断的に課題を解決できる人材が強く求められている。

専門分野を横断する横串型の専門家(いわゆる「T 型人材」)、プロジェクトを運営管理できるマネージャー、研究者やエンジニアを調整できるコーディネーター、大規模システムの設計デザインを行うアーキテクト、社会学・経済学の分野で課題解決に取り組める人材、国際共同研究をリードできる人材については、人材の育成が急務である。

第7章 国際連携の強化

既に国連防災機関(UNDRR)と国際学術会議(ISC)によって、「地磁気嵐」、「電離圏嵐」、「太陽活動による電波障害」、「太陽風」の宇宙天気現象は、人命の損失、健康への影響、財産の損害、社会的・経済的混乱などを引き起こすハザードであり、リスク軽減に向けた世界的取組が必要であることが明確化されている。

我が国は、宇宙天気現象の問題に関して、戦略性を持ちつつ、積極的に海外との連携・協力を進めていくべきである。

米国や英国等、宇宙天気分野で先進的取り組みを行う主要国では、国際的な連携・協力を重視する国家戦略を掲げている。我が国も、国際連携の強化を国家戦略として明確化するとともに、米国や英国等との具体的な協力分野を具体化していくべきである。

第8章 NICT に期待される役割

NICT は、宇宙天気予報に関する定常業務に加え、高いレベルの研究者を中核とした世界トップレベルの研究拠点を形成することにより、宇宙天気分野の観測・分析・予報を強化し、国立研究開発法人としての役割を果たしていくべきである。

NICT の研究成果については、個別の技術相談やアプリケーションの提供等により、企業や国が抱える課題の解決に活用できるようにするべきである。

また、知的財産のライセンス活動、ベンチャー設立・起業支援、研究者の兼業、企業との共同研究・共創等を積極的に行うことにより、NICT の研究者自らがイノベーションの連続的な創出を実現するべきである。

宇宙天気に関するデータ・プラットフォームを構築することにより、一定の条件の下で、様々な利用ニーズに応じたデータのオープン化を推進するべきである。

宇宙天気予報オペレーションセンター(仮称)の創設

「宇宙天気予報オペレーションセンター(仮称)」を NICT の組織として正式に設置することにより、先端研究との相乗効果を発揮しつつ、宇宙天気予報業務を確実に実施できる体制を構築するべきである。また、研究組織とは別の組織体とすることにより、研究者が実施業務で抱える負担を軽減し、先端研究に集中して取り組むことができる体制とすることが必要である。

おわりに・・・

宇宙天気予報②ということで、検討会の報告書を要約しました。
関心のある人は、ぜひ一度報告書をご確認ください。

太陽の活動は、これまで私たちが一般的に知ることがなかった環境に大きな影響を及ぼします。
特に、「電波」「陽子」「電子」などが社会や暮らしに影響を及ぼします。
そういった影響の顕在化は、人類の科学技術の進歩とともに顕在化し、
時代とともにその顕在の度も大きくなってきました。
もしも、ここで準備への着手や実践を積極的に取り組まなければ、
「大惨事から人類は学ぶ」ことを、またしても繰り返してしまうことにもなります。

これまで、想像もしていなかった原因での事故やトラブルが今後発生することを暗示しています。
想像もしていないとは、私たちがこれまで経験していなった因果関係による事象の発生です。
技術的に認識できなかった因果関係という意味でもあります。
まったく新しい部類のインシデントやアクシデントが発生するという意味でもあります。
(事故は事故としてこれまでと同じですが、事故原因がまったく違うということ)
そうした、はじめて出くわす事象を、予見して対策を講じるといった取り組みは、
筆者が考える非常時対応の最適化システムの重要な考え方&柱のひとつでもあります。

人類の経験知を超える「宇宙現象」もひとつ考察の中には入れておきたいものです。

ぜひ当局におかれては、悲惨な事態に至ることがないような、
至当な予防災に基づく、多重の予防災体系を構築していただければと思っています。

過去の経験に学ぶことはけっして悪いことではありません。
一方で、過去の経験から学ぶだけでは十分ではないという意味でもあります。
そういった、今までよりも次元を異にする
 「<危険予測/危険見積/危機予測>の境地
に進んでもらいたいと思います。cf.SNRAなど。
知った「今がスタートライン!」です。

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