【第44回】 生活習慣病:日常生活の積み重ねの先にある病気とは?

健康
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今回は「生活習慣病」についてご紹介します。

しばしば耳にする言葉でしょうか。

よく知っている人も多いのかもしれません。

現在では一般的になってはいますが、あらためて確認していきましょう。

生活習慣病

定義

生活習慣病とは、食事や運動、休養、喫煙、飲酒などの生活習慣が深く関与し、それらが発症の要因となる疾患の総称です。日本人の死因の上位を占める、がんや心臓病、脳卒中は、生活習慣病に含まれます。(出典:厚生労働省,e-ヘルスネット)

昔は「成人病」という言葉を使っていました。
聞いたことがある人も多いのかもしれません。

つまり、生まれてこの方、日々の生活の積み重ねの先にある病気ということになります。

疾患の範囲

図1.生活習慣病の範囲
(出所:厚生労働省,e-ヘルスネットをもとに筆者作成)

生活習慣病の範囲は、図1のように生活習慣と疾病との関連が明らかになっているものが含まれています。

歴史的経過

「19世紀まで人類の健康上の課題は感染症の克服でしたが、この課題がほぼ解決した先進諸国では20世紀以降に疾病構造が大きく様変わりして、生活習慣病が主たる死亡原因となっています。」(出所:厚生労働省,e-ヘルスネット)

「2000年には厚生労働省により、生活習慣病の一次予防に重点を置いた「健康日本21」が策定され、9分野(食生活・栄養/身体活動・運動/休養・心の健康づくり/喫煙/飲酒/歯の健康/糖尿病/循環器病/がん)について数値目標を定め、国民健康づくり運動が推進されることになりました。」(出所:厚生労働省,e-ヘルスネット)

「2008年には新たに内臓脂肪蓄積を基盤とした複合リスク病態であるメタボリックシンドロームおよびその予備群を2015年までに25%減少する目標が追加され、より強力な生活習慣病撲滅対策として特定健診・特定保健指導が進められています。」(出所:厚生労働省,e-ヘルスネット)

「成人病」から「生活習慣病」へ…名称変更その理由?

「成人病」は加齢に着目した概念でした。
「生活習慣病」は生活習慣に着目しています。

年齢が進むにつれ、病気は発症するもの。という認識でしたから、一定の年齢になったときに早期発見・早期治療という受診行動を促進するために「成人病」という考え方を用いていました。

一方で、成人が病気を発症する背景には生活習慣が大きく関与しているということは明らかになっていたこともあり、生活習慣を改善して疾病の発症予防と進行予防を促進しようというのが「生活習慣病」という言葉に込めた思いのようです。

生活習慣病の予防

ブレスローの7つの健康習慣

図2.ブレスローの7つの健康習慣(出所:文部科学省,健康教育関連資料(高校生用)より抜粋)

【ブレスローの7つの健康習慣】
▶①:喫煙をしない
▶②:定期的に運動をする
▶③:飲酒は適量を守るか、しない
▶④:1日7~8時間の睡眠を
▶⑤:適性体重を維持する
▶⑥:朝食を食べる
▶⑦:間食をしない

生活習慣病の予防は、一次予防が重要です。
一次予防とは、
 ・「健康増進
 ・「生活習慣の改善
 ・「予防接種
 ・「健康教育と正しい理解
のことです。

①:たばこですが、
  喫煙し始めないこと、禁煙すること、禁煙が難しい場合には代替品への置き換えを進めて本数を減らしていくことがあります。

②:定期的な運動ですが、
  デスクワークが多い人は、日々の生活の中に運動を取り入れることが続くコツです。
  通勤や帰宅時間に運動を取り入れての帳尻合わせができると良いかもしれません。
  運動習慣をつけることがとてもとても大切です。
  できることを小さなことからでも構いません。
  継続できそうな習慣から始めて、長くつづいていくように頑張りましょう。
  〇階までは階段を使うとか、
  一駅前で降りるとか、
  バス停は1つ手前の停留所を使うとか、
  安全な回り道を経由して帰宅するとか、
  ちょっとした〇〇店への買い物は徒歩で済ますとか、
  歩数計で目標となる目安値を決めるとか、
  視聴時間は腕立て伏せ・腹筋・スクワットを取り入れるとか、
  いろいろと試してみてください。

③飲酒
 アルコールの適量は20g程度です。(出所:厚生労働省,飲酒のガイドライン
 (「【第43回】高血圧①」を参照ください。)

④7~8時間の睡眠
 就寝する時間を決めてしまうことが大切かも知れません。
 ズルズルと時間が過ぎてしまうものです。
 起床時間は多くの人にとってズラすことが難しいでしょう。
 そのため、就寝時間で時間調整をすることがオススメです。

⑤適性体重
 「【第40回】 一次予防のススメ」でもご紹介しました。
 BMI=体重kg÷身長m÷身長m
  →18.5≦BMI<25
   となるように体重を整えることが推奨されています。
  例)BMI(体格指数)=体重65kg÷身長1.75m÷身長1.75m=21.2

⑥朝食
 朝食を欠食することは、
  ・血糖値の急変動(血糖コントロール不良)になる可能性
  ・睡眠からの覚醒が不良に
  ・脳へのエネルギー不足
  ・記憶力や集中力に低下の影響
  ・自律神経が乱れる
  ・筋肉量の減少
 があるといわれています。

⑦間食をしない
 間食をするということは、血糖コントロールへの影響だけではありません。
 一日の食事摂取量を間食することで超過してしまうリスクになります。
 若い年齢のときは、基礎代謝が高く、運動量も多いため、間食することの影響はあまり受けなかったかもしれません。
 一方で、加齢とともに、基礎代謝が低下するだけでなく、運動量の減少など、また、運動量減少による筋肉量低下に伴う基礎代謝の低下など、若いときのイメージのままで、食事摂取しているだけでリスクが増大していくことを肝に銘じておきましょう。

おわりに・・・

今回は「生活習慣病」をとり上げました。
ご存知の人も多いのかもしれません。
ちょっとした参考資料としてご活用ください。

体重が年齢の進行とともに増加してくる人は一定数います。
たいへん豊かなお腹周りをしている人が一定数います。
これは、たいへん簡単に把握できるとても重要なサインです。
これは、エネルギー出納(エネルギーの摂取と消費のバランス)が摂取過剰となっているサインなのです。
基礎代謝が加齢に伴い低下し、運動量が減り、運動量が減ったことで筋肉量も減ってきますと、
エネルギー使用量はさらに格段に以前よりも低下していってしまうというメカニズムを受けとめましょう。
「生活習慣病」へと進む歯車が回り始めるタイミングという意味です。

体重増加が20歳前後と比べて10kg以上増大している人はすでに要注意と心得ましょう。
気づくのは早いに越したことはありません。
気づいたら、その次は、ひとつずつ生活習慣の見直しをかけてください。
そうすることで、生活習慣が原因による病気を予防することに役立ちます。
知った「今がスタートライン!」です。

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