【第59回】 北朝鮮ミサイル:開発経過の振り返り

国民保護
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今回は「北朝鮮ミサイル」をとり上げます。

その中でも、「ミサイル開発の経過」を振り返ります。

これまでの開発経過はどのような流れで進んで来たのか。

出来事をおさらいしていきましょう。

北朝鮮ミサイルの開発経過

No.年月日概要
11993年5月29日準中距離弾道ミサイル「ノドン1」
21998年8月31日弾道ミサイル「テポドン1号」     宇宙・衛星(初)
32006年7月5日弾道ミサイル「スカッド・ノドン・テポドン2号」計7発(大陸間)
42009年4月5日弾道ミサイル「テポドン2」           (大陸間)
人工衛星打ち上げ用ロケット「銀河2号」、宇宙・衛星#2
52012年4月13日「テポドン2派生型/銀河3号」、宇宙・衛星・失敗#3?
62012年12月12日「銀河3号」             宇宙・衛星#4・成功
72013年5月18日~20日短距離ミサイルまたはロケット砲の計6発
82014年6月29日弾道ミサイル「スカッドかノドン」
92015年5月4日潜水艦発射弾道ミサイル(SLBM)        (初)
102016年2月7日「テポドン2」       宇宙・衛星#5・成功(大陸間)
112016年6月22日「ムスダン」2発、ロフテッド軌道
122017年3月6日詳細不明
132017年3月22日詳細不明
142017年4月4日詳細不明
152017年4月16日詳細不明
162017年4月29日詳細不明
172017年5月14日中距離弾道ミサイル「火星12」1発        (初)
182017年5月21日準中距離弾道ミサイル「北極星2号」KN-15
192017年5月29日、6月8日スカッドミサイル(改)
202017年7月4日大陸間弾道ミサイル「火星14」初      (大陸間)(初)
212017年7月28日大陸間弾道ミサイル「火星14」、射程10万km(大陸間)
222017年8月26日短距離弾道ミサイル3発
232017年8月29日中距離弾道ミサイル「火星12」
242017年9月15日中距離弾道ミサイル「火星12」
252017年11月29日大陸間弾道ミサイル「火星15」KN-22   (大陸間)
262019年4月18日戦術誘導兵器
272019年5月4日短距離弾道ミサイル「イスカンデル」KN-23
282019年5月9日短距離弾道ミサイル「イスカンデル」2発KN-23
292019年7月25日短距離弾道ミサイル「イスカンデル」
302019年7月31日弾道ミサイル2発
312019年8月2日短距離弾道ミサイル2発
322019年8月6日短距離弾道ミサイル2発「イスカンデル」
332019年8月10日短距離弾道ミサイル2発・KN-24
342019年8月16日短距離弾道ミサイル2発
352019年8月24日大型ロケット弾2発・KN-25
362019年9月10日大型ロケット弾2発
372019年10月2日潜水艦発射弾道ミサイル「SLBM」(「北極星3」)
382019年10月31日短距離弾道ミサイル2発
392019年11月28日大型ロケット弾2発
402020年3月2日(2発)詳細不明
412020年3月9日(3発)詳細不明
422020年3月21日詳細不明
432020年3月29日詳細不明
442021年1月22日巡航ミサイル
452021年3月21日巡航ミサイル
462021年3月25日弾道ミサイルを2発
472021年9月11・12日長距離巡航ミサイル
482021年9月15日短距離弾道ミサイルを2発             (鉄)
492021年9月28日極超音速ミサイル「火星8」         (極)(初)
502021年9月30日地対空ミサイル
512021年10月19日新型潜水艦発射弾道ミサイル「SLBM」2発
522022年1月5日極超音速ミサイル1発            (極)
532022年1月11日極超音速ミサイル1発            (極)
542022年1月14日弾道(短距離戦術)ミサイル2発           (鉄)
552022年1月17日弾道(短距離戦術)ミサイル2発
562022年1月25日長距離巡航ミサイル2発
572022年1月27日弾道(短距離戦術)ミサイル2発
582022年1月30日弾道ミサイル1発「火星12」、最大5,000km?
592022年2月27日大陸間弾道ミサイル(ICBM級 火星17)1発   (大陸間)
602022年3月5日弾道ミサイル1発
612022年3月16日ICBM級「火星17」?            (大陸間?)
622022年3月20日ロケット砲4発
632022年3月24日弾道ミサイル1発「火星17」、最大1万5,000km超?(大陸間)
642022年4月16日弾道(短距離戦術)ミサイル2発
652022年5月4日弾道ミサイル1発
662022年5月7日潜水艦発射弾道ミサイル「SLBM」1発
672022年5月12日超大型ロケット砲・短距離弾道ミサイル3発
682022年5月25日1発目:大陸間弾道ミサイル1発「火星17」(ICBM)推定(大陸間)
2発目:短距離弾道ミサイル1発「イスカンデル(改)」推定(失敗?)
3発目:短距離弾道ミサイル1発「イスカンデル(改)」推定
692022年6月5日短距離戦術ミサイル・超大型ロケット砲8発
702022年6月12日多連装ロケット砲
712022年7月10日多連装ロケット砲
722022年7月11日多連装ロケット砲
732022年8月17日巡航ミサイル2発
742022年9月25日弾道ミサイル「SLBM」1発
752022年9月28日弾道(短距離戦術)ミサイル2発
762022年9月29日短距離弾道ミサイル2発
772022年10月1日短距離弾道ミサイル2発
782022年10月4日中距離弾道ミサイル「火星12」1発
792022年10月6日短距離戦術ミサイル・弾道ミサイル(超大型ロケット砲)2発
802022年10月9日弾道ミサイル(超大型ロケット砲)2発
812022年10月12日長距離戦略巡航ミサイル2発
822022年10月14日①短距離弾道ミサイル1発
②ロケット砲
832022年10月18日①砲撃(黄海)
②砲撃(日本海)
842022年10月23日ロケット砲10発(北朝鮮籍船への韓国軍措置への対抗措置)
852022年10月28日短距離弾道ミサイル2発
862022年11月2日①短距離戦術ミサイル4発
②地対空ミサイル23発
③戦略巡航ミサイル2発
872022年11月3日①スカッドミサイル?×1
②短距離戦術ミサイルと超大型ロケット砲弾×5
882022年11月5日①短距離戦術ミサイル2発
②超大型ロケット砲弾2発
892022年11月9日短距離弾道ミサイル1発
902022年11月17日短距離弾道ミサイル1発
912022年11月18日大陸間弾道ミサイル(ICBM)「火星17」1発       (大陸間)
922022年12月5日ロケット砲130発余
932022年12月6日ロケット砲90発余
942022年12月15日大出力の固体燃料エンジン、燃焼実験、成功
952022年12月18日準中距離弾道ミサイル2発
962022年12月23日短距離弾道ミサイル2発(1発)
972022年12月31日短距離弾道ミサイル3発
982023年1月1日短距離弾道ミサイル1発
992023年2月18日大陸間弾道ミサイル(ICBM)「火星15」1発  (大陸間)
1002023年2月20日短距離弾道ミサイル2発
1012023年2月23日戦略巡航ミサイル4発
1022023年3月9日短距離弾道ミサイル6発
1032023年3月12日戦略巡航ミサイル2発
1042023年3月14日短距離弾道ミサイル2発
1052023年3月16日大陸間弾道ミサイル(ICBM)「火星17」1発  (大陸間)
1062023年3月19日短距離弾道ミサイル1発(戦術核使用を想定)
1072023年3月22日戦略巡航ミサイル4発
1082023年3月21日~23日核無人水中攻撃艇、実験、成功           (初)
1092023年3月27日①短距離弾道ミサイル2発、
②核無人水中攻撃艇、実験、成功
1102023年4月13日大陸間弾道ミサイル(ICBM)「火星18」1発(初)(大陸間)
1112023年5月31日軍事偵察衛星「マルリギョン(万里鏡)1号」1発、宇宙・衛星#6(軍事偵察衛星・初)
1122023年6月15日短距離弾道ミサイル2発
113 2023年7月12日大陸間弾道ミサイル(ICBM)「火星18」1発   (大陸間)
1142023年7月19日短距離弾道ミサイル2発
1152023年7月22日戦略巡航ミサイル数発
1162023年7月24日短距離弾道ミサイル2発
1172023年8月24日軍事偵察衛星「マルリギョン(万里鏡)1号」1発、宇宙・衛星#7(軍事偵察衛星・2回目)
1182023年8月30日短距離弾道ミサイル2発
1192023年9月2日戦略巡航ミサイル2発
1202023年9月13日短距離弾道ミサイル2発
1212023年11月21日軍事偵察衛星「マルリギョン(万里鏡)1号」1発、宇宙・衛星#8(軍事偵察衛星・3回目)、成功
1222023年11月22日弾道ミサイル
1232023年12月17日短距離弾道ミサイル1発
1242023年12月18日大陸間弾道ミサイル(ICBM)「火星18」1発   (大陸間)
1252024年1月5日砲撃192発、北方限界線(NLL)の北側の海上緩衝区域
1262024年1月6日砲撃60発以上、北方限界線(NLL)の北側の海上緩衝区域
1272024年1月7日砲撃90発以上、北方限界線(NLL)の北側の海上緩衝区域
1282024年1月14日中距離弾道ミサイル1発
1292024年1月24日戦略巡航ミサイル数発
1302024年1月28日潜水艦発射戦略巡航ミサイル数発
1312024年1月30日戦略巡航ミサイル数発
1322024年2月2日巡航ミサイル数発
1332024年2月11日多連装ロケット砲
1342024年2月14日巡航ミサイル数発
1352024年3月18日短距離弾道ミサイル2発、短距離弾道ミサイル1発
1362024年4月2日中長距離弾道ミサイル1発「火星16」           (初)
1372024年4月19日巡航ミサイル、地対空ミサイル数発
1382024年4月22日短距離弾道ミサイル
1392024年5月17日短距離弾道ミサイル数発
1402024年5月27日軍事偵察衛星「マルリギョン(万里鏡)1-1号」1発、宇宙・衛星#9(軍事偵察衛星・4回目)、空中爆破
1412024年5月30日短距離弾道ミサイル18発
図表1.北朝鮮ミサイルの開発経過(出所:筆者作成)

おわりに・・・

今回は「北朝鮮ミサイルの開発経過」をご紹介しました。
外務省資料や防衛白書などを参照して概要の大まかな内容を列記しました。
参照元の資料により、兵器の種類・発数などの情報に不符合がありました。
そのため、大まかな流れとして記載していますので念のためご了承ください。

1993年以降、100回余のミサイル等の発射があったことがわかりました。
これは主に、日米韓が捕捉できた情報に基づいた数字になります。
なおかつそれらは、公開情報です。
もしかすると、非公開情報があるのかも知れません。
加えて、日米韓が捕捉できていない情報がもしかするとあるのかも知れません。
以上のことをふまえてご理解いただけますとありがたいです。

図表1から、開発にはたいへん多くの時間がかかることがわかります。
また、開発を継続することで、次第に性能が向上していることもわかります。
開発とは、その政治的戦略的な当該主体の意図の部分はここでは触れませんが、
その進歩や発展や進化や向上や成長を目指すことは明白のようです。

今回の経過は、その「事柄の性質」上、比較的入手しやすい形で公開されていたように思います。
そういった「事柄の性質」(安保理決議等の国際関係上の諸事情のこと)をのぞけば、
開発することに対する思いがみえてくるのかも知れません。
しかし、立場によっては、開発行為を肯定的に受け止めることができない場合があります。
それがこのミサイル開発問題のたいへんナーバスな部分なのかもしれません。
立場が違うということで発生してしまう ”コンフリクト” はたいへん悩みの大きな問題です。
そのため、ここでは中立的な立場でコメントさせています。

以上から、開発に向けた努力は大なり小なりどこの主体でも行われていることだといえます。
「事柄の性質」をのぞけばですが、
開発を ”やめる” ことはもはや難しいのかもしれません。
一方で、「事柄の性質」はたいへん重要な関心事です。
ですから、
これまでも言ってきた「防衛比例原則」がとても大切になってきます。
加えて、
外交や国際関係やバイラテラル・トライラテラル・マルチラテラルな関係が重要になってきます。
日本でも他国でもさまざまに努力がなされてきました。
引き続き、あるべき秩序の構築に向けた、
あるいは、起こってはならない事態の抑止に向けた、
さまざまなレベルやチャンネルでの取り組みが重要なのではないでしょうか。
これを機に平和の構築はたいへん複雑で時間を要する努力の蓄積との受け止めのもと、
偶発的衝突や不測事態の抑止に尽力されている現場のみなさんの労をねぎらいましょう。
知った「今がスタートライン!」です。

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