【第21回】 噴火警報:火山への警戒・監視はこうやって行われている。身近な災害として知っておこう!

情報
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【第19回】では、身近な自然災害として火山についてとり上げました。

【第20回】では、富士山の噴火ハザードリスクをとりあげました。

今回は、「火山」に関する噴火の警報速報についてご説明します。

火山の噴火によって、災害が起こるリスクが発生した場合に
気象庁は「噴火警報・予報」を発表します。

火山と言ってもすべての山で警報の体制が整備されているわけではありません。

そういった意味で、概要をご説明しますのでぜひご参考にしてください。

噴火警報・予報

概説:活火山とは

火山には、「活火山」という名称を用いて、次のような定義がされています。
「噴火記録のある火山や今後噴火する可能性がある火山を全て「活火山」と分類する考え方が1950年代から国際的に広まり、1960年代からは気象庁も噴火の記録のある火山をすべて活火山と呼ぶことにしました。」(出典:気象庁

その後、さまざまな検討が重ねられ、「2003(平成15)年に火山噴火予知連絡会は『概ね過去1万年以内に噴火した火山及び現在活発な噴気活動のある火山」を活火山』」(出典:気象庁)と再定義しました。

現在の数になったのは、2017(平成29)年6月で、活火山の数は111となりました。

監視された活火山

こうして、火山災害への防災体制として、気象庁は「111の活火山」の中でも、
  ▶ 2009年6月 47火山
  ▶ 2014年11月 3火山追加され50火山
の経過を経て、監視・観測体制が必要な火山として現在では50の活火山が選定されています。(出所:気象庁

図1.監視・観測体制のある50活火山(出所:気象庁

警報・予報の種類

はじめに

噴火警報・予報は、その対象となる山により発表方法に違いがあるようです。
大きな違いはないようなのですが、
  ▶ 次節で説明する「噴火警戒レベルが運用されている山」
  ▶ 次々説で説明する「噴火警戒レベルが運用されていない火山」
の3つがあります。

噴火警戒レベルが運用されている山

種別は、その災害危険度により、3つあります。
  ▶ 特別警報
  ▶ 警報
  ▶ 予報
それぞれの名称については、図2のとおりです。

5段階噴火警戒レベルに対応した、対象範囲が定義されています。
  ▶ レベル5:避難
  ▶ レベル4:高齢者等避難
  ▶ レベル3:入山規制
  ▶ レベル2:火口周辺規制
  ▶ レベル1:活火山であることに留意

居住地域にお住いの高齢者は、レベル4の段階で避難を開始するようにしましょう

図2.噴火警戒レベル運用対象(出所:気象庁

噴火警戒レベルが運用されていない火山

種別は、その災害危険度により、同じく3つあります。
  ▶ 特別警報
  ▶ 警報
  ▶ 予報
それぞれの名称については、図3のとおりです。

噴火警戒レベルが運用されていない火山では、警戒レベルの運用がされていません

図3のように、「警戒事項等」という表現になっています。
  ▶ 居住地域厳重警戒
  ▶ 入山危険
  ▶ 火口周辺危険
  ▶ 活火山であることに留意

噴火警戒レベルが運用されている山とは発表される言葉自体が違うことをおさえておきましょう。

図3.噴火警戒レベル運用非対象(出所:気象庁

海底火山

図4.海底火山(出所:気象庁

種別は、その災害危険度により、2つあります。
  ▶ 警報
  ▶ 予報
それぞれの名称については、図3のとおりです。

警戒事項として、
  ▶ 周辺海域警戒
  ▶ 活火山であることに留意
となっています。

特に、漁業関係者や船舶関係の方々への影響への予警報になるでしょう。
しかし、海底火山の噴火が陸地で生活する人々にとって無関係とは必ずしも言い切れません。
その噴火の規模の大きさによっては、私たちに重大な影響がある場合もあります。
十分に注意しておきたいものです。

噴火警報・噴火速報

噴火警報・噴火速報とは

気象庁は、火山の噴火によって、災害が起こるリスクが発生した場合に
噴火警報・噴火速報」を発表します。

図5.噴火警報・噴火速報(出所:気象庁

使い方

図5の凡例にもありますように、全国111活火山の現在の状況が網羅されています。

警戒レベルは、前章3節「警報・予報の種類」で説明した内容で整理しています。
それぞれに( )カッコ書きされています。とても見やすい作りになっています。

確認したい山をクリックすることで、その情報を入手することができます。
ここでは、「桜島」を例に説明していきます。

図6.桜島の噴火警報(出所:気象庁

確認したい火山の「△」をクリックします。
すると図6のように表示されます。
火山の状況により、表示項目は違うのですが、
ご覧のように、
  ▶ 警報・予報:「火山周辺情報」
が発表されています。
キーワードとして、
  ▶ レベル3(入山規制)
に該当しています。
それ以外には、
  ▶ 噴火警報・予報を見る
  ▶ 解説情報を見る
  ▶ 桜島の活動状況を見る
といった項目を選択することができるようになっています。
それぞれに、気象庁からの解説があります。
こういった情報を見ておくとたいへん参考になるでしょう。

おわりに・・・

備えの大切さ

噴火の警報・予報についてお伝えしました。
日本には111の活火山があり、そのうち50の火山で常時監視観測体制であることもわかりました。
噴火による災害は、火山災害と言われますが、
事前に情報を入手できるように備えをしましょう。
もちろん、突然起こる噴火もあります。
そのようなときには、噴火が起こった時の行動として事前の備え=訓練をする必要があります。
これについては、今後、記事を発表できればと思っています。

「警戒レベル」の見直しが必要では?…その理由

ただ一つ気になることがありましたので付言しておきます。
「警戒レベル」の区分についてです。
気象災害(大雨・洪水・高潮)と火山災害では「警戒レベル」を使います。
厳密には、
 ▶ 気象災害(大雨・洪水・高潮)ですと「警戒レベル」を使います。
 ▶ 火山災害では「噴火警戒レベル」を使います。
現行では、気象災害も火山災害もどちらも「5段階」で設定されています。
当局的には「気象災害と火山災害では『警戒レベル』を区別している。」
という整理なのかもしません。
では、見比べてみましょう!…

 ▶ 気象災害:警戒レベル5緊急安全確保
 ▶ 火山災害:噴火警戒レベル5避難

 ▶ 気象災害:警戒レベル4避難指示
 ▶ 火山災害:噴火警戒レベル4高齢者等避難

 ▶ 気象災害:警戒レベル3高齢者等避難

一方で、実際に避難など対処行動をする住民(情報を使う人)目線でみると、
とてもわかりにくいと思われます。(混同してしまうということです。)

そこで、「警戒レベル」の再整理(一元化)=「標準化」=「規格化」
があってもよいと筆者は考えています。

5段階の定義を、
災害種別に関係なく、住民の対処行動が同じになるようにしてしまいましょう!
というものです。そういった配慮などによって、
制度がより実効性と使いやすさを後押してくれるものになるのではないでしょうか。

今後、噴火警戒レベルにもそういった見直しがなされていくことに期待したいです。

「警戒レベル」を見直した先にある、さらに大きな防災活用可能性

見直しは、それ以上にプラスの影響を期待できます。
例えば、外国人への「防災アラート説明」がたいへんわかりやすいものになるでしょう。
加えて、聴覚障害の方にとっては、視覚情報でその警戒レベルを示すことにも役立ちます。
それだけではありません。
色として識別できることで、光信号として活用できます。
一例では、公共・公的機関や各種の掲示手法のひとつに、発光信号や背景色識別法など、
その採用方法のバリエーションによっては、いろんな活用可能性が広がるのではないのでしょうか。

訓練や準備をはじめよう!

訓練といっても、いろいろな種類の準備があります。
情報源を知る、情報を入手する、概要を理解する、そして、
身を守る行動パターンを知る、ということも大切な訓練のひとつだと思います。
厳密には「準備」になるのかもしれませんが、とても重要です。
ぜひとも、火山災害を知ることや、
被害を小さくできる行動や対処の方法を確認したり想像したりといった、
予防災基礎力をひとつずつ増やしてみてはいかがでしょうか。
知った「今がスタートライン!」です。

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