【第22回】 火山災害:火山活動に伴う災害とは?発生する現象を知り、備えに役立てよう!

ハザードマップ
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【第20回】では、「富士山噴火」をとり上げました。

その中に、火山活動に伴う現象に対する、発表されている「ハザードマップ」を5つ紹介しました。
  ①「降灰」
  ②「溶岩流」
  ③「大きな噴石」
  ④「火砕流・火災サージ」
  ⑤「融雪型火山泥流」
でした。

そこで今回は、火山活動にともなう現象の解説をしていきたいと思います。

火山活動に伴う現象とは?

⓪分類

図1.火山活動にともなう現象の分類(出所:内閣府防災

火山活動にともなう現象をまとめたものが図1(出所:内閣府防災)です。
  ▶ 噴火現象
  ▶ 噴火にともなう現象
  ▶ その他の火山現象
の3つに区分されています。

この記事が該当する現象は、「噴火現象」と「噴火にともなう現象」です。
直接人間や生活に危害を与える可能性の高いものを主体にご紹介します。

①大きな噴石

図2.大きな噴石(写真:気象庁)

②火砕流、火災サージ

図3.火砕流、左:雲仙岳平成6年、右:雲仙岳平成5年(出所:気象庁)

火砕流:噴火により放出された破片状の固体物質と火山ガス等が混合状態で、地表に沿って流れる現象のこと。(出所:気象庁)、「高熱の岩石や破片が斜面を流れ下る現象」(出所:国土交通省北陸地方整備局)

火災サージ:火山灰と空気の混ざった高熱の爆風のこと。火山ガス(下↓⑥で解説)を主体とする希薄な流れのこと、流動性が高く、高速で流れ、尾根を乗り越えて流れることがある。(出所:国土交通省北陸地方整備局)

と説明しています。
その特徴は、「高速高熱
つまり、スピードがとても速く、時速100キロを超えることもあり、
とても熱く、数百度という高温です。
しかも、尾根を越えてくるといった動態を示すことがあるため、避難にはある程度の余裕をもったタイミングや範囲の考慮が必要になるでしょう。

ひとたび発生すると、一面が燃え上がり、焼け野原状態になってしまいます。

③融雪型火山泥流

図4.融雪型火災泥流(出所:米国地質調査所をもとに気象庁掲載)

融雪型火山泥流:火山活動によって火山を覆う雪や氷が融かされることで発生し、火山噴出物と水が混合して地表を流れる現象のことです。流速は時速数十kmに達することがあり、谷筋や沢沿いを遠方まで流下することがあります。(出所:気象庁)と説明されています。

冬季期間や、富士山のように冠雪期間がたいへん長期におよぶ山など、積雪期における火山活動は、とても大きな災害リスクをもっていることが想像できるのではないでしょうか。

積雪していた雪を溶かし、それが泥流となって私たちが住む街・町に流れてきます。

冬季や冠雪期に該当する場合は、さらに注意が必要であることが理解できます。

④溶岩流

図5.溶岩流(伊豆大島(1986年))(出所:国土交通省)

溶岩流とは、溶けた岩石が地表を流れ下る現象です。流下速度は地形や溶岩の温度・組成によりますが、比較的ゆっくり流れるので歩行による避難が可能な場合もあります。(出所:気象庁)と説明されています。

流下速度は比較的ゆっくりとありました。
ただし、注意が必要です。
流れている溶岩は1000度くらいあります。
1000度を超えるものもあります。
近づくことや、流れてくるのを危機感なく待つことは危険です。
ご注意ください。

⑤小さな噴石・火山灰

図6.小さな噴石・火山灰(出所:政府広報オンライン(左写真)、内閣府防災(右写真)

小さな噴石・火山灰:噴石(噴火によって火口から吹き飛ばされる防災上警戒・注意すべき大きさの岩石)のうち、直径数cm程度の、風の影響を受けて遠方まで流されて降るものを小さな噴石と呼んでいます。噴火によって火口から放出される固形物のうち、比較的細かいもの(直径2mm未満)を火山灰といいます。(出所:気象庁)と説明されています。

噴火のまさに火口付近では、小さな噴石が弾道を描いて飛んできます。登山者しているひとにとっては命に関わるたいへん危険な現象です。

火山灰は、風向きにより変化しますが、かなり火口から離れた広範囲に飛散・拡散します。大気中に滞留するため、航空機の飛行に影響が出たり、電線等に付着して漏電などの影響で停電や交通機関への影響は大きくなる可能性があります。また、精密機器の内部に進入することで、機器類がショートを起こしたり不具合を起こすことがあるため、都市機能がマヒするリスクをはらんでいます。

⑥火山ガス

図7.火山ガス(大地獄谷)(出所:岩手県)

火山ガス:火山活動により地表に噴出する高温のガスのこと。水、二酸化硫黄、硫化水素、二酸化炭素などを主成分としています。(出所:気象庁)と説明されています。

火山ガスは、人体にとってたいへん危険です。ガスの吸気による中毒の発生が懸念されます。

火山ガスの有毒成分は、主に空気より重たいことから、低いところにたまりやすいです。
風のない状況や、曇りの時などは、有毒ガスが拡散してくれないため、高濃度の状態である場合があります。登山する際には、火山活動がないからと言って安心することなく、穏やかな中にも見えないリスクが潜んでいることへの注意が必要です。

⑦火山泥流・土石流

図8.火山泥流・土石流(雲仙普賢岳)(出所:国土交通省関東地方整備局)

火山泥流・土石流:火山において火山噴出物と多量の水が混合して地表を流れる現象のこと。流速は時速数十kmに達することがある。(出所:気象庁)と説明されています。

さまざまな原因で発生するとされています。
例えば、火砕流が水域・湖・降雨によりその流動性を増して流れ出るような場合です。
その流速はとても速いため、影響範囲にいる場合には、逃げることはほとんど厳しいです。
噴火警報・予報から情報を入手して、適切な避難行動につなげる必要があります。

避難につなげよう

以上、火山活動にともなう現象について説明しました。
こういった現象があることで被害が発生します。
そのために、公的機関や研究機関では、さまざまな分析や検討を行っています。

【第19回】では「火山」の概要を把握しました。
【第20回】では「富士山」を例にそのハザードマップ(各種備え)を確認しました。
【第21回】では「噴火警報」を例に被害を小さくするための体制(整備されている環境)を理解しました。そして、今回、

【第22回】では「火山活動におともなう現象」をみてきました。

どのような被害が発生するのかを想像するための役に立てばありがたいのと、
発生する被害がどういったものになるのかというイメージをもとに、
被害を小さくするための対応方法を検討・工夫していくといった役にたてばうれしいです。

おわりに・・・

火山活動は常に起こっています。
地球が誕生してからずっとです。
それに伴う、地表や海底に及ぼす変化も繰り返し発生しています。
そういった変化による影響が及ぶ範囲の中に私たち人間が生活しているというのが実態です。

火山災害は、必ず起こるものです。
それがどこに、いつ、どのように起こるのか?
を同時にすべて満たしてくれるような予測はたいへん難しいです。

2000年の有珠山噴火では、その噴火の予測が成功したといわれています。
(実際には、避難指示の発令などで当局はいろいろとたいへんだったようですが。)
(案外、手放しで「成功」ではなかったというのが実情です。)

そのような成功例と言われる対応になることが希望(理想)ですが、
なかなかにそうはならないとの受け止めが平素は大切なのかも知れません。

「どこに」は、おおむねわかっています。
「いつ」は、兆候がつかめることも多くなっています。
「どのように」は、これはたいへん難しい分析・検討が必要になります。

私たち住民ができることは、
その土地にあるリスクを知り、
油断せずに備え、
対応要領を想像し、
余裕をもって行動を起こすこと。
になります。

なかなか、「だいじょうぶだろう」と思ってしまいがちにはなりますが、
どうか「重大な決断」ができるよう日頃から備えをひとつずつしていきましょう。
知った「今がスタートライン!」です。

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