今回は「明度変化」と「交通事故」についてご紹介します。
「明度変化」=「薄暮(17時~19台)」に注目します。
「明度変化」として今回は、暗くなることへの着目です。
明るさが暗くなっていくことで起こるリスクを知ることで、日常生活に潜む交通社会人としての危険回避にお役立てください
時間帯でみる死亡事故件数
時間帯別の死亡事故件数
図1は、時間帯別の死亡事故件数です。
17時~19時台に最も多く発生しています。
明らかに「夕方」=「薄暮~夜間」の時間帯に事故が起こりやすいことを示しています。
警察庁のホームページによれば、
「この時間帯は、周囲の視界が徐々に悪くなり、自動車や自転車、歩行者などの発見がお互いに遅れたり、距離や速度が分かりにくくなるためです。」(出典:警察庁HP)
とありました。
平日の時間別交通量
図2は、平日の時間別交通量を示したグラフです。
交通量にはピークが2つあることがわかります。
「朝7時台」と「17時台」です。
朝の交通量は、5時台から急激に増加します。
8時台にかけてたいへん多い時間帯になります。
夕方の交通量は、16時台から増加を始め、
17時台、18時台がとても多いことがわかります。
ここから、徐々に暗くなるという図1の傾向分析とともに、
交通量の増加も要因のひとつとして考えることができます。
小括
以上から、時間帯でみると夕方17時~19時台に交通事故の発生件数が最も多いことがわかりました。
その原因として2つあることがわかりました。
1つ目は、
周囲の視界が徐々に悪くなり、自動車や自転車、歩行者などの発見がお互いに遅れたり、距離や速度が分かりにくくなるためでした。
2つ目は、
交通量が多いこと、つまり、交通社会の利用者・台数がピークになっているためでした。
これら2つが相互作用を伴い、交通事故発生のリスクを増大させていることがわかりました。
リスクを低減・回避する方法は2つあるということです。
▶①:交通利用者相互の距離・速度の判断に必要な、
「適切な時間をかけた」交通利用を行うことです。
一例として、
制限速度を守ること、
確認を適切に行うこと、
「かも知れない」運転を行うこと
などがあります。
「適切な時間」にはもちろん個人差があります。
「【第36回】交通事故②(高齢者)」や
「【第37回】交通事故③(認知症)」でも紹介しました。
そういった、個人の特性に応じた時間のかけ方を実践しましょう。
▶②:交通量の増加を十分認識して通行することです。
交通量の増加を避けて通行することもひとつでしょう。
人混みの中でトップスピードでランニングすることはできないのと同じように、
周囲の流れとともに自分が流れていくことが大切です。
たくさんの通行者・車がいますから、
たくさんの通行全部を十分に認知して通行するようにしましょう。
認知しなければならない数が増えるため、
認知できる範囲の速度や技術で通行をしていきましょう。
家路を急ぐ気持ちはわかりますが、
交通事故が起きてしまっては本末転倒です。
安全に目的地へ移動するためにも交通量の増大に応じた通行を推奨します。
月別の死亡事故件数
薄暮時間帯でみる月別の死亡事故件数
図3は、【薄暮時間帯】における、月別の死亡事故件数を表しています。
薄暮時間帯と言っても、季節によりその明度は違いがあります。
例えば、夏季は【薄暮時間帯】といっても19時台まで明るいことがあります。
一方で、冬季の【薄暮時間帯】は明らかに暗くなることはおわかりいただけるでしょう。
つまり、暗くなることが明らかな10月~12月、1~4月が
明らかに死亡事故件数が多いことがわかります。
明度といった性質をみても、
明らかに冬季にそのリスクが跳ね上がることを知ることが重要です。
事故の当事者とは?「薄暮時間帯」と「昼間」の比較から
図4は、昼間と薄暮で比較した、交通事故の当事者関係を表しています。
「自動車✕歩行者」の事故は、件数ベースで、
「薄暮時間帯」で「昼間」の約3.6倍に跳ね上がることがわかります。
つまり、
▶自動車が歩行者を認識できないか、
▶歩行者が自動車を認識できていない
といった傾向を理解できます。
「自動車」同士の事故が、件数ベースで、約20%減少していることにも注目しておきましょう。
▶自動車同士は比較的相互の認知ができている可能性が高い
と見ることができます。
交通量が増大することによる無理な運転等の抑制効果が得られている可能性があります。
おわりに・・・
今回は、「薄暮」に注目して交通事故を分析しました。
暗くなるという変化への対応に、人間の認知力が影響していることがわかりました。
デイライト運動がこれまで推奨されていました。
2016年10月の道路交通法の改正に伴い、
2020年4月以降に販売される新型車にはオートライト機能の装着が義務化されました。
自動車を運転する人は、オートライト機能がない場合には前照灯の点灯を早めに行いましょう。
自動車がライトを点灯して走行することにより、
自動車の存在を知ってもらうことにつながります。
相手が歩行者・自動車・二輪車にかかわらず、
いろいろな意味を含んで「危機を回避」することに役立つことがあります。
ライトを点灯することでリスク回避の助けとなるわけですから、
これまで推奨されてきた理由も合点がいきます。
ぜひみなさんも、交通ルールと技量にあった速度を選びながら、
車や自転車などのライトの早めの点灯もお願いします。
(オートライト機能装着車はオートライトに任せましょう。)
知った「今がスタートライン!」です。