今回は「高血圧」をご紹介します。
「高血圧」は、罹患者も多く国民病のひとつと言えるのかもしれません。
「高血圧」を知ることで、健康レベルを維持・改善・向上できるようにしていきましょう。
高血圧
高血圧への注目
「高血圧は、喫煙と並んで、日本人の生活習慣病死亡に最も大きく影響する要因です。もし高血圧が完全に予防できれば、年間10万人以上の人が死亡せずにすむと推計されています。」(出典:厚生労働省,e-ヘルスネット)
高血圧の種類
高血圧は、2種類あります。(おおきく2種類に分けられます。)
「①本態性高血圧」と「②二次性高血圧」です。
▶①:「本態性高血圧」
原因の明らかでない高血圧、すなわち、血圧上昇をきたす基礎疾患が認められない高血圧。
▶②:「二次性高血圧」
高血圧の明らかな原因疾患があり、その疾患による症候として現れる高血圧
※今回は、「本態性高血圧」に焦点をあてた「予防災の実践」をご紹介します。
※高血圧の原因はさまざまあります。
※血圧が高い場合には、必ず近医受診するようにしてください。
※すでに高血圧の治療を受けている場合は、医師との相談にもとづいた健康管理を実践しましょう。
高血圧症の患者数
高血圧性疾患の患者数は、993万7千人(出所:厚生労働省,平成29年(2017)患者調査の概況)です。
高血圧症有病者の推定は、約3,970万人です。
正常高値血圧者の推定は、約1,520万人です。
(いずれも、出所:厚生労働省(2008),生活習慣病有病者の状況について)
日本国民の約10人に1人が高血圧の患者です。(治療にたどりつくことができた人)
日本国民の推定3人に1人が高血圧の可能性のある状態です。
これは、言い換えると、診断や治療に結び付いていない人が多くいることを示しています。
有症状の人は、必ず医師の治療を受ける必要があります。
正常高値の人は、定期的な健康診断が重要になります。
血圧分類と測定
血圧の分類
図1は、日本高血圧学会の高血圧診断基準をもとに厚生労働省が示した表です。
高血圧とは、
「診察室での収縮期血圧(最大血圧)が140mmHg以上、または拡張期血圧(最小血圧)が90mmHg以上の場合を高血圧と診断します。」(出典:厚生労働省,e-ヘルスネット)
血圧は変動する性質があります。
一日のうちで変動する日内変動や、活動状況によって変化します。
血圧の測定
▶病院での診察時の血圧だけでない家庭での測定値を、診断では参考にしています。
▶測定のタイミングは、1日2回、朝と夜です。
▶朝は、図表3(上図)を参照ください。
▶夜は、図表3(下図)を参照ください。
▶血圧が「高値血圧」の場合には、遠慮とためらいなく近医受診をオススメします!
高血圧のリスク(概説)
高血圧が引き起こすリスクの概要をザックリと知っておきましょう。
いわゆる血管・血流に伴う望ましくない影響があります。
血管を水道ホースに例えると読者にとって理解を助けるのかも知れません。
たいへん高圧な水圧にも耐えられる性能になっている水道ホースですが、
一定程度の水圧にしか耐えられない材質を仮定してみましょう。
高圧だともたない材質でできている伸縮するようなホースですから、
高圧になった時にホースは破れ破損することが想像できます。
また、ちょっとしたきっかけ、例えばキズや穴があった場合には、
そこから水が漏れ出てくることも想像できるでしょう。
それが、図表4で紹介した疾患へとつながるというメカニズムです。
高血圧の予防
高血圧は生活習慣病ですから、生活習慣の見直しがとても大切です。
▶食塩摂取量を抑える。
→目標1日8g未満、成人男性で7.5g未満、成人女性で6.5g未満
※高血圧患者における減塩目標は1日6g未満
(出所:厚生労働省、健康日本21(第二次))
▶ストレスを下げる。
▶規則正しい生活に心がける。
→起床、就寝時間を一定にする。
夜更かしをしない。
▶大酒を控える。
→アルコールの適量は20g程度です。(出所:厚生労働省,飲酒のガイドライン)
例)ビール(アルコール度数6%、350mL)だと1缶
例)チューハイ(アルコール度数7%、350mL)だと1缶
程度が目安になります。
▶タバコの本数を減らす、控える。
→喫煙は血圧上昇を引き起こします。
喫煙による心筋梗塞リスクは上昇するという結果があります。
できれば禁煙が望ましいですが、難しい人は減煙に心がけましょう。
▶温度の急激な変化に気を付ける。
→「ヒートショック」とも言われます。
寒いところに移動すると、急激に血圧が上昇する現象です。
特に、浴室と脱衣所の温度差がある場合には注意してください。
また、トイレが寒い場所にある場合にも、リビングとの温度差に注意が必要です。
あたたかい衣類を羽織るなど、対策しましょう。
トイレなど短時間の場合には、電熱式ヒーターは有効です。
狭い場所、衣類がある場所など、火災予防に留意しながら使用してみましょう。
▶重労働に配慮する。
→重いものをもつことは控えましょう。
台車やカートを利用しましょう。
労働の程度は適度になるように配慮しましょう。
おわりに・・・
今回は「高血圧」①として総論をお届けしました。
高血圧に気づかない場合もあります。
定期的な健康診断を受診することや、
1台血圧計を準備することもオススメします。
高血圧症はたいへん罹患者の多い病気です。
一方で、自覚していない人もたいへん多いです。
有病であるにもかかわらず治療に結び付いていないことで、
望まない病気が発症することも多いことがわかりました。
ここでは、特に、まだ発症していない人を対象にしていることを説明しました。
生活習慣の蓄積の先に「高血圧」があることから、
その発症予防を目的としています。
そのため、「けっして危機感をあおることが目的ではない」ことを付言しておきます。
予防方法を実践して、ぜひ高血圧の予防につなげていただきたいと思います。
話はかわり、
かつて、日本の高血圧者が多い理由として、食塩の過剰摂取が挙げられていました。
「1950年代の東北地方では、1日25gの食塩が摂取されていた」(出所:病気がみえるvol.3)
という記載もあります。
すでに幼少期から高血圧に進んでいた人も多かったのかもしれません。
それが当たり前の食習慣と認識されていたでしょうから、
とてもおそろしいと感じています。
今では、食への探求がたいへん進みました。
食塩はその量を使うことが料理の目的ではなくなりました。
塩分の適切な使い方による、食材の良さを引き出したり、
味の調和を追求していく、という方向へと時代が経過しています。
ひと昔以上前であれば、しっかりと塩分がきいた味噌汁、焼き魚に醤油をドボドボかけ、塩漬けの漬物を数種類並べ、塩と醤油と味噌と化学調味料で整えられた(ことが当時は当たり前だった)煮物を食していた時代を振り返ることができるでしょう。
それが、現代では、「旨味」という基本味の種類も発見されました。
塩分の代用という発想も生まれ広がっています。
そういった、食に対するさまざまな工夫や創造が、
塩分にこだわらないバラエティーに富んだ食の在り方を提供してくれるようになりました。
こうして、食の文化を豊かにしてくれていると感じます。
そういった、いろいろな進んできた恩恵をいただきながら、
ぜひ食塩の摂取量の抑制の役に立てていただければたいへんうれしく思います。
食塩摂取を控えること=食べる豊かさが減ってしまう
のではありません。
これからも食の豊かさの中に、塩分摂取量が抑制されていく試みがぜひ進んでいって欲しいと思っています。
知った「今がスタートライン!」です。